Claude Code カスタム|slash command 自作で繰り返し作業を 1 行に|実物 3 つ公開
「記事を書いて」とお願いするだけで、リサーチから構成、執筆、画像生成、予約投稿までを 1 つのコマンドで実行する。当社では、その仕組みを /write-article という 1 行のコマンドに畳んでいます。
毎回同じ手順を口頭で説明する手間が消えました。手順の抜けもなくなりました。何より、社内の別メンバーでもコマンド 1 つを叩けば同じ品質の記事が出てくる——属人化していた仕事が再現可能な仕組みに変わったわけです。
今回はその裏側を全部公開します。slash command の自作、つまり /write-article や /log-done といった「自分専用コマンド」を作る方法。当社で実際に運用している 3 本の実物を、Markdown ファイルの中身ごと開示します。
シリーズ「Claude Code を自分専用に育てる」第 4 回。前 3 回でルール宣言(CLAUDE.md)・物理ガード(deny)・自動実行(Stop hook)を扱いました。今回は「繰り返し作業の畳み方」がテーマです。
目次
slash command とは|「決まった手順」を 1 行で呼び出す仕組み

slash command とは
Claude Code 内で「/コマンド名」と入力すると、あらかじめ定義した手順を AI に実行させる機能。決まった作業手順を 1 つの Markdown ファイルにまとめておけば、その後はコマンド 1 行で再現できるため、繰り返し作業の効率が劇的に上がります。
毎回コピペしていた指示が「/コマンド名」で済む
新しい記事を書くたびに、当社では以下のような長い指示を AI に出していました——「最初に wordpress_writer の CLAUDE.md を読んで、Phase A〜E の順で思考して、HTML で書いて、出典はインラインで、語尾を変化させて、最後に generator.py で投稿して」。
15 回繰り返した時点で「もうこれは仕組みにすべきだ」と判断しました。同じ指示を毎回タイプし直すのは、時間も気力も無駄です。
slash command を導入した今は /write-article クロード活用法 と打つだけ。15 行分の指示が 1 行に縮みました。皆さんが繰り返している「定型指示」も、おそらく slash command に畳めます。
個人スコープとプロジェクトスコープ
slash command は 2 種類のスコープで管理できます。CLAUDE.md と同じ構造です。
- プロジェクトスコープ:
.claude/commands/{name}.mdに置く。そのプロジェクトでだけ使える - 個人スコープ:
~/.claude/commands/{name}.mdに置く。あなたのすべてのプロジェクトで使える
使い分けの目安は単純で、業務固有の手順はプロジェクトスコープ、自分の作業習慣に紐づくものは個人スコープ。当社では /write-article を KAIROS プロジェクトに置き、グローバルでは別の汎用コマンドを管理しています。
出典: Anthropic Claude Code Best Practices(2026)
当社の 3 つの実物公開|write-article・log-done・kvg-release

当社の .claude/commands/ フォルダに置かれている 3 本の slash command を、それぞれ何のために作ったか・どう使うかを公開します。
/write-article|記事執筆を一気通貫で実行
| 用途 | WordPress 記事をリサーチから予約投稿まで一気通貫で生成 |
| 呼び方 | /write-article テーマやキーワード |
| 中身(要約) | Phase A 企画 → B 構成 → C 執筆 → D 検証 → E 投稿の 5 段階を順番に実行する手順書 |
| 畳んだ作業 | 毎回 15 行の前提説明を入力していたものを 1 行に |
このコマンドの肝は、ファイル冒頭で「最初に必ず agents/wordpress_writer/CLAUDE.md を Read する」と明示している点。AI が手順を省略する余地を消しています。
/log-done|作業ログを 7 項目テンプレで自動追記
| 用途 | 作業完了時に docs/logs/YYYY-MM-DD.md に振り返りログを追記 |
| 呼び方 | /log-done タスク名 |
| 中身(要約) | 「やったこと」「つまずいたこと」「原因と解決策」「作業ファイル」「ステータス」「次回の再開ポイント」の 7 項目を AI が会話履歴から抽出して整形 |
| 畳んだ作業 | 記録を毎回手で書いていたが、書き忘れて翌日に思い出せない事故が発生していた |
「振り返りはやったほうがいい」と分かっていても、手動だと続きません。slash command 化したことで、当社のログ記録率は約 30% から 95% に上がりました。
/kvg-release|社内ツールのバージョンアップ時に 3 ファイルを同期
| 用途 | 当社の自作画像生成ツールをバージョンアップした時、関連 3 ドキュメントを同時に更新 |
| 呼び方 | /kvg-release v5.6 |
| 中身(要約) | 3 ファイルを並列で読み、旧バージョン文字列を抽出、差分を MANTA に提示、承認後に Edit で一括反映 |
| 畳んだ作業 | 更新漏れによる「ドキュメントが古いバージョン記述のまま」という事故 |
これは社内固有のニッチな業務ですが、皆さんの会社にも同じような「バージョンアップ時に必ず一緒に更新するファイル」のセットがあるはずです。それを slash command 化すると、更新漏れがなくなります。
自分専用コマンドの作り方|3 ステップで完成

slash command の作成はとても簡単です。3 ステップで完成します。
ステップ 1|Markdown ファイルを 1 つ作る
プロジェクトの .claude/commands/ フォルダ(無ければ作る)に、コマンド名と同じ名前の .md ファイルを置きます。たとえば /log-done というコマンドを作りたければ log-done.md。ファイル名がそのままコマンド名、というシンプルな仕様。
ステップ 2|冒頭に YAML フロントマターを書く
ファイルの先頭に、コマンドの説明と引数のヒントを書きます。当社の /write-article はこのようにしています。
| フィールド | 内容 | 役割 |
|---|---|---|
| description | このコマンドが何をするかの一行説明 | /help 等で表示される |
| argument-hint | 引数のヒント(例: <テーマ>) | 引数が要ることを利用者に伝える |
このフロントマターは省略しても動きますが、書いておくと後から見返した時に「何のコマンドだっけ」と迷いません。社内共有を想定するなら必須です。
ステップ 3|本文に AI への指示を書く
フロントマターの下に、AI に何をさせたいかを Markdown で書きます。普段 AI に出している指示をそのままコピペすれば動く。引数を受け取りたい場所には $ARGUMENTS と書けば、コマンド実行時に入力された文字列で置換される仕組み。
たとえば /write-article クロード活用法 と打つと、本文中の $ARGUMENTS が「クロード活用法」に置き換わって AI に渡されます。これだけ。
確認方法|書いたら即試す
ファイルを保存したら、Claude Code を再起動し、/ をタイプしてみてください。あなたが作ったコマンド名が候補に出てくれば成功です。出てこない時はファイル名のスペルミスか、保存場所の間違いを疑ってください。
何を slash 化すべきか|判断軸 3 つ

「便利そうだから何でも slash 化しよう」は失敗します。コマンドが増えすぎると、どれを使えばいいか分からなくなる。当社が運用しながら整理した 3 つの判断軸を共有します。
軸 1|週に 3 回以上やる作業か
頻度が低い作業は slash 化しない方が良い。理由は単純で、覚える前に忘れる。当社の目安は「週 3 回以上やる作業」。月 1 回しかやらない作業を slash 化すると、コマンド名を思い出すコストの方が大きくなる、という逆転現象が起きます。
軸 2|手順が 5 行以上あるか
手順が 1〜2 行で済むなら、毎回タイプする方が早い。5 行以上の指示を毎回コピペしているなら、slash 化の効果が大きい。当社の /write-article は中身が 60 行あります。これを毎回手書きしていた時代は本当にしんどかった、と当時のメンバーが言っています。
軸 3|手順を間違えると事故が起きるか
順序や条件を間違えると事故が起きる作業は、頻度が低くても slash 化する価値があります。当社の /kvg-release はバージョンアップ時にしか使いませんが、手順を間違えるとドキュメントが食い違って後から運用事故になる。リスクの大きい作業ほど、仕組みで守る価値が高い。
シリーズ次回予告
ここまでで「ルール(CLAUDE.md)」「ガード(deny)」「自動化(hook)」「コマンド(slash command)」の 4 つが揃いました。最終回は、これらを統合した auto-95 セットアップ——「95% の判断を AI に任せ、人間は 5% の重要判断にだけ集中する」運用設計を、月 3.6 時間の業務削減効果と一緒に解説します。
slash command 自作についてよくある質問

slash command の中で他の slash command を呼び出せますか
呼び出せません。slash command は AI への指示文を整形した Markdown ファイルなので、別の slash command を呼ぶ機能は持ちません。代わりに、複数のコマンドの内容を 1 つの Markdown にまとめる方法を取ります。当社の /write-article は最後に「終わったら手動で /log-done を呼んでログを残してください」と書いてあり、AI が利用者にコマンド実行を促す形にしています。
引数が複数ある場合はどう扱えばよいですか
$ARGUMENTS は引数全体を 1 つの文字列として受け取ります。複数の引数を扱いたい時は、Markdown 本文側で「引数を空白区切りで解釈してください」と AI に伝えるか、$1 $2 のような番号指定の引数(一部のバージョンで対応)を使う方法があります。シンプルに保ちたいなら、引数 1 つで運用するのが現実的です。
チームで slash command を共有するベストな方法は何ですか
.claude/commands/ フォルダごと Git にコミットする方法が最もシンプルです。チームメンバーが pull すれば自動で同じコマンドが使えるようになります。当社では .claude/ 配下の Git 追跡について、個人事業の 1 マシン運用と複数メンバー運用で扱いを変えています。複数メンバーなら必ず Git 管理を推奨します。
既存の組み込みコマンドと同じ名前で自作できますか
避けるべきです。組み込みの /clear や /help と同じ名前で自作コマンドを作ると、どちらが優先されるかバージョンによって変わる可能性があります。自作コマンドには「会社名 + 動詞」のような独自プレフィックスを付ける運用が安全です。たとえば /会社名-report や /プロジェクト名-init のような命名にすると衝突を避けられます。
